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1962年の創立以来、(財)野村生涯教育センターは、創設者野村佳子理事長の下、ひたすら未来の子どもたちのためにという思いの中、活動を推進してまいりました。
そして4年前、創立40周年の年に迎えた「第8回生涯教育国際フォーラム」は、結果として、初代理事長の最後のフォーラム、最後の基調講演となりました。
野村理事長は、20世紀後半、日本の高度経済成長期に多発しだした青少年の不幸の問題に胸を痛め、その問題の背後にある無秩序、無規範、人間荒廃に大きな危惧を持ちました。
エスカレートしていく対立、抗争…。 増大するエゴ、恐怖、虚脱…。
それは、日本のみならず、全世界の問題であり、それゆえ同じ惑星に住みあう私たち一人ひとりが共に“人間性復活”“共存の方途”を求めることが、今を生きるすべての人間の課題であることを確信し、東洋から西洋への発信を続けてまいりました。
そして今年、2006年、私たちは「第9回生涯教育国際フォーラム」を迎えます。
残念ながら、20世紀を生き抜いた野村理事長が持たれた危惧は、21世紀、現実のものとなり、より一層深刻さを増しています。
始まったばかりのこの21世紀を、私たちはどう生きるのか?
この時代を生きる私は、野村理事長が胸を痛め、人間復活を願われ、育てていただいた世代です。
“人間の尊厳”に気づかぬまま、すべてが能力やスピード、効率性といった相対価値ではかられる社会の中で痛み、傷ついていた私は、その野村理事長の思い、願いの中で、この教育原理に基づき、喪失しつつあった人間性を復活させていただいてまいりました。
ゆえにこの度のフォーラムは、失いつつあった人間性を復活させていただいた世代が持つ初めてのフォーラム、という大きな意義を持ちます。
同じ地球に住み、自然の摂理の下に生きる私たちは、同じ人間同士です。
万人に普遍のルール、つまり、野村理事長が提示し続けた“共存の秩序”に覚醒し、人間の尊さに目覚め、それぞれの伝統・文化に培われた価値を確認し、認め合う場を持ち続けた歴史を、次世代である私たちが継承してまいりたいと思います。
過去に積み重ねられてきた先人たちの努力が土壌となり、世界に広がった善意の芽を再び大きく育てていくことを願い、「第9回生涯教育国際フォーラム」を開催いたします。 |
2006年9月、東京
(財)野村生涯教育センター
理事長 |
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