FOCUS
ちーちゃんの宝物
 私は、主人、小学5年の長女、小学4年の長男、小学2年の次女、6か月の三女の6人家族です。
 主人の転勤で大阪に引っ越す前は、上の子どもたちと一緒に約10年間、毎日幼児教育部に通わせていただきました。
 子どもたちは皆、個性はさまざまですが、特に次女のCは活発で私の範疇を超えており、私の思う通りにならないと「この子は大丈夫かしら」とありのままの姿を受け止められずにいました。そのことから「自分の見方で見るのではなく、ありのまま見て聞いていくこと、子どもを自分の枠にはめようとしがちだが、子育ては、子どもを通して親の枠を広げることなのよ」と金子理事長から教えていただきました。
 Cは小学生になってから、小学校まで片道5分ほどの道のりを1時間かけて道草しながら帰ったり、とても自由なのですが、親としてはハラハラすることも多く、Cの気持ちを聞くよりも、怒ってしまうことが度々ありました。
 その度に「Cは別人格でしょう。Cの気持ちをありのまま聞くことじゃない? 気持ちを知りたいって思わない?」と問うてもらってきました。気持ちをありのまま聞けないのは主人に対しても、誰に対しても一緒で、自分の思っていることと違うことを言われると、いっぱいいっぱいになり聞けなくなることがわかってきました。
 先日、Cが先生からもらったお便りに「国語の『宝物を紹介しよう』の勉強で、子どもたちの宝物を紹介することを考えています。子どもたちには、『袋に入れて持ってこられる人は名前を書いて持ってきてね』と伝えました」と書いてありました。
 私は、Cに「ちーちゃんの宝物はなに?」と聞くと「わかんない」と言って、考える様子がなかったので、Cの宿題だしと思い、放っていました。
 宝物を持っていく日の当日、しかも学校に行く時間の30分前に、突然「宝物はどうしよう。持っていかなきゃなの」と言ってくるので、だから前に宝物はどうするかを聞いたでしょうと怒ってしまいました。
 その日の夜、主人に話すと、主人は「Cの宝物ってなんなのかを知りたいね」と言いました。
 私は宝物を提出しなければならないという頭ばかりで、Cの宝物は何かを知りたいと思っていませんでした。
 私は、またCの思いを知りたいと思えなかったと一瞬落ち込みそうになりましたが、気を取り直しCに聞いてみました。
 「Cの宝物ってなんだろうね、ママは学校に宝物を出さなきゃっていうことばっかりになってた、ごめんね。Cの宝物ってなんなのかを知りたいな」と言いました。
 するとCは「宝物は自分の命だよ。でもそのことを学校で言うのは恥ずかしい」と言うので、私は「恥ずかしくないよ、大事なことだよ」と言いました。
 主人にそのことを話すと「Cの宝物が知れて嬉しいね」と話してくれました。
 次の日、先生から「ちーちゃんの宝物は自分の命と言っていました。お父さんとお母さんが生んでくれたから、と言っていましたよ。家族に自分が大事にされているのをとても感じているのでしょうね」と言ってもらいました。
 Cは、親から受け継いだ命を大事にしていて、その命を感じ取っていることがわかり、嬉しくなりました。それは、親の私が命の繋がりの大事さを教えてもらい、それが子どもにも繋がったのだと感じました。
 親である私が、自分にも思いや気持ちがあるように、人にも思いや気持ちがあることを思えることの大事さを、ずっと問うていただき、今回、主人と話し、主人から言ってもらって、Cの一番大事にしている気持ちを聞くことができ、感謝になりました。
 
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