夏のイベント レポート |
静岡支部
静岡支部は8月6日(土)、第3回子育て懇談会を「生涯教育 今を生きる私の責任―未来の子どもたちのために―」のテーマのもと、当センター静岡研修会館において開催。市・町議会議員、小学校校長、行政関係者、幼稚園関係者、主婦等57名が参加した。
支部メンバーは、近年、全国的に問題となっている子どもの貧困、児童虐待、育児放棄の問題が、静岡の市町村でも深刻化している現実を学校や行政の方から聞くにつけ、今を生きる私たちの責任として、真剣に考えていきたいとの強い動機を持ち、子育て懇談会開催を強く願った。(機関紙377号掲載)
準備にあたり、まず、メンバーは社会の実情を知っていこうと、地域を回り、話を聞くなかで、さまざまな問題を抱えている市町村の多さに驚き、また、虐待にも身体的、心理的虐待、そして、そこに陥る理由もさまざまあり、問題の複雑さを感じていった。
開催5日前、金子理事長から「これだけ経済的に豊かな社会にあって、なぜ貧困が増えてしまったかの原因を考える必要があると思います。短絡的には言えませんが、今、女性が経済力を持った上で結婚後も共働きをし、そのなかで、実際に結婚生活をしてみると思うようにいかず、こんなはずではなかったと、自分よりも相手の方に、その責任を向け、その上、よく話し合うこともせずに結末をつけてしまう。そして、自分は仕事を持っているから離婚しても大丈夫と思ってしまう傾向のなか、シングルマザーになると、思いのほかお金がかかり、貧困になっていく。貧困の問題も夫婦の問題に繋がるものが多いのでは、と思います。お金を支援したり、制度を作ることは大事ですけれど、お金があっても子どもをネグレクトする問題もあるでしょう。一人ひとりのケースを取り組むなかで、根本の問題は何かを考えると夫婦の調整の問題に繋がることが多いと思います」と指導をいただいた。
メンバーたちは、ほんとうにこの問題は夫婦がどうあるかということが大事だと感じ、この課題を持って当日を迎えた。
はじめに懇談会実行委員長の片山さんの開会挨拶の後「公益財団法人 野村生涯教育センターのあゆみ」のビデオ上映、続いて同支部の浮島さんが提言を行なった。それを承けての全体討議では、一日を通して、参加者は皆、肩書を外し、忌憚なく活発に討議した。
「知り合いが子どもに問題がある人と取り組んでいるが、子どもの背景には、その家庭に問題がある、子どもの問題は親の問題だと受けとめなければならない」
「今、女性が働きやすい環境を作るということを進め、子育てを人に任せる時代になってきたので、子どもの環境はより厳しい。その意味でこの問題を真剣に取り組むこの学びが大事と感じた」
「このように本気で子どもたちの未来について考える大人たちがいることが子どもたちを支える力強い応援だと思う」といった発言があるなか、次々に足もとの問題が出されていった。その中で、初めての参加者から「主人に感謝をしているが、一点、許せない事がある。私の実父が急死し、実家に葬儀のために里帰りした。静岡に戻る前に主人はお酒を飲んでしまい、5歳の娘が、駅で出迎えた姑の顔を見るなり大泣きしたとのこと。車中、主人が酔っぱらってしまい不安だったと聞き、妻が親を亡くして悲しんでいる時に、酔って5歳の娘に怖い思いをさせた主人に腹が立った。そのことを主人に話したが『それが何なの、そんな気持ちにさせた覚えはない』と言われ、今でも許せない」と、ありのままに吐露した。それを聞いた副責が「ご主人はどうしてそんなにお酒を飲まれたのですかね」と投げかけると、話していくなかでいろいろなことを思い出し「主人はすごく父が好きで、一緒にお酒を飲めることをいつも楽しみにしていました。本当は帰りたくなかったのかも知れない」と涙を流す一幕もあった。
最後に責任者の鈴木さんは「本当に、皆さんが肩書を外し、また男女、年齢の差を超えて、夫婦、親子、お孫さんのことなど話し合え、とても貴重な時間でした。こういった何でも話せる場が、現代にあってどれだけ大事かを改めて思いました」と締め括った。
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