生涯教育講演会 |
まなびピア岡山2007 |
生涯教育
人間性喪失の現代社会を考える
―家庭とは 家族とは― |
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第19回全国生涯学習フェスティバル「まなびピア岡山2007」が、全体テーマ「晴れの国 キラリ☆輝く まなびの輪」を掲げて、11月2日から6日までの5日間にわたり開催された。
当センターは平成元年の第1回以来、文部科学省の要請を受け、協賛事業として今回まで一貫して教育講演会等を行ってきた。
今年度は、全国で初めて県内27の全市町村が参加し、当センターは11月3日(土)、岡山県生涯学習センターを会場に、「生涯教育 人間性喪失の現代社会を考える―家庭とは 家族とは―」をテーマに講演会を開催した。
実行委員会を中心に、岡山支部メンバーはもとより、全国の支部・連絡所のメンバーは精力的に参加呼びかけを行い、結果、県内をはじめとして中部、関東、関西、中国、四国の教育行政からの参加を含め、教育界、政界、経済界等から約230名が一堂に会した。
最初に、「第9回生涯教育国際フォーラム」のビデオを上映し、続いて人間学研究会で学ぶ江目均(ごうのめ ひとし)さんが教育実践報告を行った。
江目さんは「11年間、組合に専従して、昨年職場復帰となり、異なる環境の中で、今まで味わったことのない挫折感と疎外感を覚えた。仕事は順調に進まず、日々悩みを抱え、落ち込みの激しい毎日を過ごしている。
これまでは会社、組合、社員のために野村生涯教育を学んできたが、自分自身のために学ばなければならないと思った。自分にとって不都合と思える条件をどう見るか、主体的に行動するとはどういうことかを、改めて野村生涯教育論に基づいて考え、新たな一歩を踏み出す決意をした」と述べた。
そして「センターの先輩の助言を受け、自分の生い立ちをふり返ると、長い過去の集積と経験が職場の人間関係にも影響することがわかってきた」と、自己を深く見据えたプロセスを語り、「家庭においても既成の枠組みで子どもを見て育てていたことがわかった」と反省し、「次世代の子どもたちを公人として育てていく大事さを学び、私たち大人一人ひとりが自己改革に努めなければならない」と強く訴えた。
続いて、長野支部責任者の宮坂ふさ子さんが講演を行った。
宮坂さんは「私たちは家族、家庭の幸福を願って、限りなく物質的豊かさを求めてきた。しかし倫理観も道徳観も見失い、あらゆるところで精神障害や人間疎外が起こり、人間が人間ではなくなっていると実感せざるを得ないのが今の社会の実態ではないだろうか」と投げかけた。そして「非行、不登校が増加する中、自分の娘だけは守りたい、無事に成長させたいと思った」と自身が学びについた動機を述べ、その上で「しかし生涯教育とは、他者との関係、事象との関係を通して、自他共に人間としての向上を図る生涯を通じた教育であると学び、大きな驚きだった」と語った。
社会を批判し、責任を他に転嫁していた自分をふり返り、自分自身の人間性の復活こそが最優先課題であることに気づいたと述べた宮坂さんは、そのような意識転換を導いた「野村生涯教育論」の理念を詳細に説き、「人間生命の尊厳を基盤にしたとき、次元を超えた新しい価値として家庭が甦る。本来家庭に備わる『愛』『信頼』『連帯』の復活こそが、今、世界が切実に必要としているものである」と述べて講演を終えた。
午後は、参加者は四つの分科会に分かれて活発な討議を行い、盛会のうちに講演会は幕を閉じた。
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