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ブルガリア支部 第3回野村生涯教育セミナー
 10月4日から6日までの3日間、ブルガリア支部主催の第3回野村生涯教育セミナーが首都ソフィアで行われた。支部責任者のマリア・ツォンコバ女史より届いた報告には、16名が参加し、今回は初参加の方が増えたこと、また「野村センターが提唱する教育がブルガリアでも必要である」との参加者の感想が伝えられた。ここまでに至ったツォンコバ女史の動機や背景にある教育現場の現状など、詳細を伺うメールに対して次のような返信があった。

 「野村哲学をブルガリアに広めたいという私の動機には、常に変わらない強いものがありました。それは、この国が長い間他国の支配下にあったことや、近年のEU加盟といった歴史的要因に基づいています。そうした要因により、現在のブルガリア社会は深刻な社会問題という重荷を背負い、精神文化はまったくと言っていいほどに喪失している状況です。
 年月を重ねるなかで、私は人間性の復活という野村生涯教育論のめざすものが、人々にとって強力な教育的作業であることがわかり、それはここブルガリアでも可能であることが深い確信へとなっていきました。特にこの6、7年の私たちの活動で、その実証を得た思いです。今年で20年になる私たちの市民組織としての活動に関心を持つ人が増えています。より多くの方々に野村生涯教育論を知ってもらうことを目標にしています。
 これまで支部のミーティングで私は自分の強い動機を常に強調してきました。それが数名のメンバーの動機づけとなり、彼らがまた同じように他の方に関わるなかで人間性復活の教育理念を分かち合う人々の繋がりができ、より多くの人々の間に精神文化を培っていっています。セミナーに新しい参加者を迎えることをとても嬉しく思うのは、こうした理由があるのです。
 今回のセミナーには、ソフィア市内の幼稚園教諭・高校教師、教員組合からの教師や大学院生、そして地方都市からも7名の初参加者がいました。その全員が、次回さらに新たな参加者を誘うのに十分な動機づけを得ていたことは確かです。
 これまでのセミナーを通して私たちが感じていることですが、こちらの教育制度は、実利的な専門技能を身に着けるためにより多くの知識を得ることに焦点が当てられ、それゆえに物質的なものに対する欲求を助長し、精神的な側面や人格を育てることには向けられていません。このように何世代もが育ってきた今、たとえ何百万レフを教育に投入しても、不正や腐敗の蔓延する中ではその効果は幾ばくも無いのです。セミナーの参加者からも人々の信じられない行為を目撃した話が出ましたが、そこに責任感の低さと、一番の問題として、他者への関心のなさが浮き彫りになりました。
 そして、ブルガリア社会では、総じて教師という職業は尊敬されていません。親たちから日々の些細なことでさえ抗議を受けているのです。ですから、セミナーを持つ目的の一つには、先生たちの尊厳を取り戻し、本当に重要な仕事をしている彼らを勇気づけることがあります。
 今回参加した教師のうち幾人かは『人格の開発と、人間としての普遍的価値について話ができるこのような組織がブルガリアにあることで、自分に自信を持ち、教師という職業に誇りを持てます』と話していました」
 
 
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